はじめに
どうも、ラノベ新人賞40回以上落選中、ベテランのラノベ作家志望者ぶんぶんスクーターです。
今回ご紹介するのはアニメ化もされてさらに大人気、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(著:燦々SUN先生、イラスト:ももこ先生)です。
では早速、プロのラノベ作家志望者という立場から記した感想をご紹介しましょう。
完読した感想
※※※ここから先、重大なネタバレとラノベ作家志望を拗らせた人間のあけすけな感想が待っています。苦手な方はブラウザバックを推奨いたします。※※※
とりあえずあらすじです。
主人公の隣の席にはロシア人のハーフの銀髪美少女、アーリャさんがいて、主人公にバレないよう時々ロシア語でデレデレの台詞を言うのだけれど、実は主人公もロシア語を喋ることが出来て、アーリャさんのデレデレの台詞は筒抜けになっている、というお話。
もちろんこの設定だけで降参です私には考えつきませんって感じなのですが、それだけではなく展開自体もかなり練られている印象でした。
元々この作品は「小説家になろう」の短編として投稿されていたものですが、短編の時点では一人称視点だったのが三人称視点に変更されていました。
「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」もそうですが、最近のラブコメは三人称視点のものが売れてるのかなあ。一人称のテンション高い文章と勢いで押し切る作風が売りだと自称している自分としては厳しい現実ですね。
それからギャグについて。妹が登場しているシーンはギャグ多めだったけど、まあ、添え物程度だなあと。
つまり現代の読者はラノベにギャグを求めていないということ? それよりもヒロイン萌え的な要素が重要だということ? 確かに言われてみればそれを覆す要素はない気がするなあ。ヒロインは可愛いに越したことないだろうし。たとえば洋服を試着するシーンで、主人公の気を引くために気合を入れて色々な服を着ちゃうところとかはグーでしたね。
あと、エピソードの配分が特徴的だったように感じました。
一巻のうち、主人公とヒロインの関係性についてほぼ半分のページが使われていて、それからもう半分で主人公が生徒会に入ることを決意するまでの流れが描かれている感じだったんですけど、後半の方がエピソードかなり詰まってた印象でした。
ですが、1巻ということを考えれば、読者はヒロインの可愛さを楽しみに来ているのだから、その楽しみを強固なものにするためヒロインと主人公の関係性を最初にきちんと書いておくというのは正解ですよね。
補足ですが、ここで言う主人公とヒロインの関係性というのは、一見ヒロイン優位に見えるけれど(主人公が分からないロシア語でだけデレている)、実は主人公の方が優位なんですよ(実は主人公はロシア語が分かり、ヒロインの思惑を上回っている)という関係性のことです。
なんとなく一冊をエピソードごとにうまくページ分けして、均等に内容を書いていくのが正解という気がしてましたけど、間違ってましたね。どうすれば読者がヒロインを魅力的に感じるかと、その準備にページを割くべきなんですよ。思い出してみれば「お隣の天使様」も似たような構成だった気がします。
つまり、現代ラブコメを書くのならば、
①ギャグよりもヒロインの魅力を描写すること。
②主人公とヒロインの関係性について(主人公が優位であることを)描写すること。
の2点が重要になってくるのではないかと考えます。
ラブコメを理解しました。ぶんぶんスクーター先生の次回作にご期待ください。
あと、これは完全にネタバレなんですけど、憧れの幼馴染の正体がヒロインの姉っていうのも、幼馴染ヒロインの正体が妹っていうのも意外でした。やられましたね。キャラ配置の意外性を突くようなアイデアは参考にしていきたいです。
おわりに
いかがだったでしょうか――もクソもないと思うので聞かないでおきます。
というわけで、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の感想、もとい負け惜しみでした。
2021年に「小説家になろう」から書籍化したこの作品が2024年現在はアニメ化されて300万部を超える大ヒットというのは、夢がありますよね。
ぶんぶんスクーターも3年で大ヒットするような小説を書きたいものです。いや、書くんです!!!
それではまた、新人賞を受賞するその日まで。
ぶーん(ぶんスク、走り去る)。
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