はじめに
どうも、ラノベ新人賞40回以上落選中、ベテランのラノベ作家志望者ぶんぶんスクーター(以下ぶんスク)です。
今回は「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」を紹介したいと思います。
これは「SAVE THE CATの法則 ~本当に売れる脚本術~」(著:ブレイク・スナイダー 訳:菊池淳子)という脚本の書き方についての解説本に掲載されている、プロットのテンプレートのようなものです。
では早速、紹介していきましょう。
「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」とは?
「はじめに」でもお伝えしましたが、この「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」は脚本を書くためのテンプレートのことです。
そして、そのテンプレートに沿って書くだけで魅力的なプロットが出来上がるという凄まじい実力を持った最強のテンプレートなのです。
テンプレートは15の段階に分かれており、それぞれの段階ごとに内容を考えていくことになります。
【ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)】
脚本のタイトル:
ジャンル:
日付:
1 オープニング・イメージ(物語全体の雰囲気、主人公の初期段階を示す)(1)
2 テーマの提示(主人公がこれから解決する問題を提起する)(5)
3 セットアップ(登場人物の紹介、世界観の説明)(1~10)
4 きっかけ(ストーリーの根幹となる事件が起こる)(12)
5 悩みのとき(主人公が問題に向き合う覚悟を決める)(12~25)
6 第一ターニング・ポイント(主人公が最初の行動をする)(25)
7 サブプロット(場面転換し、息抜きに相当する場面)(30)
8 お楽しみ(エンターテイメント性の高い、お約束的な場面)(30~55)
9 ミッド・ポイント(メインストーリーに戻る。主人公は絶好調に、あるいは絶不調になる)(55)
10 迫り来る悪い奴ら(解決したと思っていた問題が再燃し、主人公が追い詰められる。)(55~75)
11 すべてを失って(主人公の絶望感を強調する場面)(75)
12 心の暗闇(絶望した主人公が立ち直り、問題への解決策を打ち出す)(75~85)
13 第二ターニング・ポイント(主人公が解決策を実行する)(85)
14 フィナーレ(事件や問題が主人公によって解決される)(85~110)
15 ファイナル・イメージ(初期段階から変化(成長)した主人公を描く)(110)
※( )のなかの数字は、それぞれのイベントが起こるページ数の目安です。
上記の15段階について、1~2行ほどの内容を考えていきます。
するとあら不思議、緩急あるストーリーが出来上がっているというわけです。
具体例(作・ぶんぶんスクーター)
とはいえ、具体的な例を出さなければ分かりづらいと思いますので、ぶんスクがこのテンプレートを使用して作成したプロットを公開しましょう。
第17回GA文庫大賞前期一次選考落選作、「宮廷呪術師の事件簿()」のプロットです。
※本文はこちら↓
【宮廷呪術師の事件簿】プロット
1 オープニングイメージ(1~5)
主人公が理不尽な目に遭っている。
主人公は王宮に売られることとなる。
※主人公の家族の意地悪女が魔法を使えることを示唆しておく。一方で、主人公は魔法が使えないことを明記しておく。
2 テーマの提示 (5)
主人公は王宮で、第3王妃とその王子に出会い、二人が呪いに苦しめられていることに気づく。主人公は呪術の力を使って事件を解決することを決意する。
3 セットアップ (1~10)
それから、呪術を使った事件を解決する。
4 きっかけ (12)
ヒロインは第三王妃の命令で、スメラギ侯爵と共に呪術対策係に任命される。
5 第一ターニング・ポイント (12~25)
主人公の過去(母親との確執?)を語る。呪術の修行シーンを入れる。
呪術を使った事件を解決するため、スメラギ侯爵と街へ行く。
6 お楽しみ (30)
スメラギ侯爵とラブコメ的なシーンが入る。(帰り際寒くなり、侯爵がヒロインに外套をかけてあげる。)可愛らしい主人公。
7 サブプロット (30~55)
ヒロインの偽親戚の娘が現れ、王宮で下女として働きだす。
が、主人公の前で調子に乗った言動をする。(王子のおもちゃを魔法で隠す。主人公は状況証拠から偽親戚が怪しいと推理し、カマをかけて白状させる。)
ヒロインは偽親戚にやられそうになったところを王子に助けられる。
王子を泣かせてしまったので、キレた主人公に呪術で懲らしめられる。
8 ミッド・ポイント (55~75)
偽親戚の娘がきっかけとなり、王子が呪術で狙われていることに気づく。
街での呪術事件も絡め、真相に迫りつつある。
実はスメラギ侯爵は第二王妃第四王妃を守れず、帝から信頼を失いつつあったという話を聞く。第四王妃はスメラギの妹(小さい頃に養子に行ったため名字は違う)で、スメラギは妹を守れなかったことを悔やみ、妹とニアを重ねている。
ファレからロザリーの様子を聞く。サマイルと関係があったらしいということを知る。
9 すべてを失って→失わない。なぜなら「小説家になろう」に投稿するから。 (75)
街での事件(切り付け事件)の犯人に迫る。
呪印を消して回っていたのはロザリーだったということが、フウンの証言で判明する。
死刑前のロザリーに事情を聴くニア。しかしロザリーの身体には呪印が刻まれ、完全に操り人形になっていた。
(主人公が圧勝する。が、呪術を裏で広めている存在に気が付く)
10 心の暗闇 (75~85)
どうやら魔術師の一人が怪しいと気づく。(フウンが不運にも犯人に仕立て上げられている)
そのとき、再び第三王妃が病に倒れる。 (魔石による呪いが原因)
11 第二ターニング・ポイント (85)
王妃の呪いは主人公では解除できない。
真の敵を探さなければならない。そのとき、第二の事件が起こる。
魔術師を追い詰めるきっかけが掴めない。
12 フィナーレ (85~110)
ヒロインは単身魔術師のところへ乗り込む。敵の魔術師は、城下街のいたるところに使われている魔力回路に呪印を刻み、城下街全体が呪印となるように細工をしており、いつどこでも誰を相手にしても呪術を発動できるようにしていた。
善戦するニアだったが、敵の新たな術式にやられてしまい、ピンチに陥る。呪術のすばらしさを語る敵だったが、ニアは父が呪術の代償として母を選んでいたせいで母が死んだことを打ち明け、誰かを不幸にする術がすばらしいわけがないと言い返す。しかし依然としてピンチ。そこへスメラギ侯爵が助けに来る。剣術でサマイルを圧倒する。
13 ファイナル・イメージ (110)
悪い呪術師は倒される。
スメラギ侯爵は主人公を看病するのだが、ツレない主人公。ハッピーエンド。
まあ、こんな感じですね。
物語の構成上、「悩みのとき」と「迫りくる悪いやつら」の段階はその前後に統合している形です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
プロットの作り方については以前の記事でもご紹介しましたが、このようにテンプレートへ当てはめていく方法で作成していくと、魅力的かつ破綻もないプロットが作れるのではないかと考えています。
みなさんも「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」を参考にプロットを作ってみてください。
それではまた、ラノベ新人賞を受賞するその日まで。
ぶーん(ぶんスク、走り去る)。
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